Shitennoji University
さをり織りとは、機械での織り方と異なり、人が感じるままに手を動かす自由な織り方のこと。11月3日〜5日に行われた大学祭では、ライフデザイン学科の学生がさをり織りを行う河内長野の福祉事業所「ライフ&ワークうらら」とコラボし、インスタレーションを行いました。
うららは多機能型事業所として生活介護事業と就労継続支援B型事業を営んでおり、障害のある方がサポートを受けて仕事をしています。作り手の感性がそのまま表れるさをり織りでは、世の中に二つとない織り柄を生み出しています。今回は、個性あふれるさをり織りの新たなイメージをつくり上げる展示の様子を中心に、学生やうららの代表である三原さんのインタビューをお届けします。
インスタレーションの会場に入ると眼の前に現れるのが壁一面に垂れ下がるさをり織りの布。床に敷かれたファブリックボードやカラフルな糸を巻いたリールなど、色鮮やかで個性的な空間が出迎えてくれます。
今回の作品を制作した学生はさをり織りの新しいイメージを演出できれば、と考えながら手を動かしたそうです。
「さをり織りは作り手の方一人ひとりの個性が出ているので、それをしっかり見てもらえるような展示になれば良いなと思って作りました。さをり織り自体がとても素敵なので、ゆらゆらと揺れるモビールにしたり、板に貼り付けてファブリックボードにしたり、さらに魅力的な見え方にできるようなイメージで作りました。(ライフデザイン学科 1年 矢城優奈さん)」
展示を行うときの色の組み合わせ方はライフデザイン学科の授業と関連することも多かったそうです。
「カラーコーディネートの授業を取っているので、どの色とどの色を組み合わせると綺麗に見えるか、ということを考えて配置を考えるのが難しいけど楽しかったです。自分が作ったものを誰かに見てもらい、感想を言ってもらったりする体験は新鮮でしたし、親子連れの方が来てくれてお子さんが見てくれたのも嬉しかったですね。(ライフデザイン学科 1年 土井陽向さん)」
ライフデザイン学科の西先生とライフ&ワークうららの代表である三原さんに今回一緒にインスタレーションを行うことに至った背景や、実際にやってみて感じたことについて伺いました。
三原さん:四天王寺大学の卒業生がうららで働いていて、「大学とうちで何か一緒にできないか?」という思いが一致したんです。一昨年・昨年は社会学部 人間福祉学科の川下ゼミとコラボして、大学祭に物販ブースを出させてもらいました。今年はさらにうららの利用者さんたちにもっと自分たちが作っていることの素晴らしさを実感してもらえたらと思い「展示をしてみたいな」と。で、ライフデザイン学科とのプロジェクトに派生して展示をしていただくことになりました。
今回展示があることで物販を見た人が展示に来てくれたり、その逆の流れもあったりして相乗効果も感じていますね。売り上げとしても一昨年・去年・今年と上がってきていて数字にも現れているのは嬉しいです。
西先生:ライフデザイン学科にはライフデザイン実践演習というライフデザイン学科での学びを社会実装する科目があるのですが、今年度の取り組み第一弾としてライフデザイン学科×ライフ&ワーク うららのコラボプロジェクトを始めました。
学びの面としても、単なる実践的な演習ではなく、ある種クライアントワークのような捉え方なので、学科の授業として個人としていかに課題解決をできるかは大きなテーマとしてあります。また、今の学生は高校生のときにコロナの影響で様々なイベントに参加できなかった世代でもあります。一つの大きなイベントを成し遂げるという達成感を味わってくれたら良いな、という思いも個人的にはありますね。
三原さん:一緒にやっていて学生さんの熱量をすごく感じましたね。発想力であったり、実行すると決めたときのエネルギーは素晴らしいな、と思います。こっちも「頑張ろう」って思わせてくれますよね。今回の展示の写真もうららの利用者さんに見せたらすごく喜ぶと思います!
来年以降も、引き続きライフデザイン科さんと協力しながら、学校外での展示であったりイベントであったりが実現できたら嬉しいですね。
西先生:ピュアな創造性ってやっぱりすごくて、うららさんの作品にはそれをとても感じています。理論を超えた力というか。今年はとても良いコラボをさせてもらったので、また来年も新しい展開を生み出したいですね。
川下ゼミの物販ブースにはうららさんのさをり織りを使ったポーチやマフラー、小物などが揃います(ちなみに人気の靴紐やブレスレットは売り切れになる盛況ぶり)。
店先に立ってたくさんのお客様の接客をするのは、人間福祉学科の川下先生とゼミの学生たち。コラボのきっかけとなった卒業生であり、今はうららで働いている小前さんにお話を聞いてみました。
「在学中に先輩の紹介でうららのアルバイトをスタートし、そのまま就職しました。卒業してもうららの一員として大学に来ることができるなんて思ってもいませんでした。在学中は人間福祉学科に在籍していたんですが、現場を知らずに勉強していたことがアルバイトをするようになってからは現実のことと照らし合わせながら学べるようになりました。仕事の実感を伴ってからの学びは、吸収する姿勢がかなり変わったと思います。人間福祉学科で勉強していたことは今も活きていますね。」
第65回の学園祭、ライフデザイン学科とライフ&ワークうららのコラボ企画には多くの人に来場いただき大成功の3日間となりました!一人の卒業生が声を上げ、目の前の仕事と大学の学びをつないで生まれた、さをり織りのプロジェクト。それは着実に広がり、学科を超えてさらに多くの学生を巻き込んで人のため、地域のための活動になってきました。引き続き四天王寺大学では地域や福祉と連携し、授業の学びを社会で実践する取り組みを続けていきます。