Shitennoji University
国際コミュニケーション学科の上野先生は四天王寺大学の卒業生。「一番苦手だった教科の先生になって、悩んでいる学生の気持ちに寄り添える先生になる」という動機で英語を学んだと語ります。その目標を叶えた背景、そして学生と教員という2つの視点で見つめてきた四天王寺大学についての思いを伺いました。
元々は日本史が好きで日本史の先生になりたいと思っていました。でもめざしていた大学は不合格に。それでも「先生になりたい」という夢は諦めていなかったので、「せっかくなら一番苦手な教科の先生になって、苦手な生徒の気持ちを分かるようになろう」と考えたんです。そこで苦手だった英語に取り組み、四天王寺大学の教育学部に入学しました。
もともと英語は暗記科目だと思っていましたが、大学の学びのなかで多くの事象・現象に理由や意味があることを知り、ドンドンと引き込まれていきました。実は私、入学時のTOEICは200点台でした…。でも四天王寺大学で学んだおかげもあり、4年次には中学校英語の教員採用試験に現役合格できるほどの実力をつけることができました。
四天王寺大学では英語教育に関する授業や英語音声学、英文法を担当しています。私の過去の認識と同じく、英語って暗記科目の印象が強く、中学校で習った簡単な文法でも、「なぜそうなるのか?」と学生に聞くと「丸暗記なので知らない」というケースはよくあります。私の授業では、覚えるだけじゃなくて考えることを重視しており、英語という言語の面白さを少しでも感じてもらいたいと思っています。
また、「みんなでつくりあげる授業」をモットーにしています。教員が一方的に話すのであれば、ビデオによる授業でも十分です。同じ時間と空間を共にしているからには、学生と討議し、そこから学んで欲しい。自分の経験からも言えますが、仲間の力は偉大です。なので、授業で知識や思考力を伸ばすのはもちろんのこと、コミュニケーションやリーダーシップなどの「人間力」を伸ばすことも意識しています。
授業や国際コミュニケーション学科の方針としてもコミュニケーションは大切にしていますし、四天王寺大学の利他の心も色々な場面に息づいていると思います。
例えば「Jump-Start English」という、学生が高校生に英語を教えるプログラムでは、先輩として粘り強く後輩を指導してくれる学生を多く見てきました。特に熱心に取り組んでくれる学生に「いつもありがとう。無理しないでね」と声をかけると、「いえ、こちらのほうがたくさん学ばせてもらっているので」と言われ感動したこともありましたね。自分自身のためにもなっていてそれが結果として相手のためになっている、という自利利他の教えを深く理解していると思います。
駅から大学までのバスの車中で本学の学生がお年寄りや妊婦さんに席を譲るシーンを見ることもよくあります。それって実はとても勇気のいる行動だと思いますが、他人のことをきちんと考える学園訓が広がっていっているのは嬉しく思いますね。
四天王寺大学は私にとって、非常に恩のある場所です。多くのことを学び、多くの仲間に出会え、自分を大きく成長させてくれた場所ですし、入学して良かったと心の底から感じています。学生時代は模擬授業のために連日討議や準備をしたり、サークルで大学祭やプロジェクトの企画をしました。仲間とシェアハウスをして勉強合宿をしたこともありましたね。学生時代も含めると、トータル12年くらい四天王寺大学にいるので不思議な感じではあります。
私の目標は「四天王寺大学に入学して良かった!」と思ってくれる学生を一人でも多く増やすことです。自分自身がそうなので、今度は先生という立場で同じような学生を育てていけたら良いですね。
四天王寺大学 国際コミュニケーション学科 講師
担当講義:教科教育法(英語)I・II / 英語教育論 / 英語音声学 / 英文法I・II
研究分野:英語教育、英語学(音声・音韻)
博士(外国語教育学)。専門は英語教育史と英語音声教育。特に、日本人がどのように英語発音に触れ、格闘してきたのかという英語音声学習・教育史や、学校に通えない学習者らがどのように英語を学んできたのかという独習者研究に関心がある。歴史から学んだことを最新の第二言語習得理論の知見と併せて、教育実践に還元している。