Shitennoji University
経営学部では、8月17日から、9月1日まで、風光明媚なリゾート地として東洋のハワイとも称され、注目を集めている、ベトナム中部のダナン・ホイアンにて、海外インターンシッププログラムを実施しました。
経営学部の特色あるプログラムとして、経済の発展と高成長が続くベトナムに着目。新たに情報通信系の私立大学である「FPT大学」と学術連携協定を結び実現したのが今回の海外インターンシッププログラム。
このプログラムに参加するのは、海外が初めての学生がほとんど。英語の不得意な学生も参加しているため、経営学を学び実践するという観点から、アントレプレナーシップ(起業家精神)の育成をテーマに「日本文化や日本土産に関するビジネスを企画し、英語圏ではないベトナムの若者に販売する」という、これまでにない「プロジェクト型(PBL)」のインターンシップとして実施されました。
参加した9人の学生たちは、日本での事前研修で「そもそも何をベトナムで販売するか」を議論するところからスタート。「材料や原料をどのように調達するか」「いくらで、どのように販売すると売れるのか」などについて、ベトナム現地とも打ち合わせを行いました。
その結果、「日本の抹茶と和菓子」「開運絵馬と書道」「寿司型キーホルダー」の3チームに分かれて活動を開始。お菓子問屋や通販、100円ショップなどで材料調達を行い、スーツケースに詰めて、現地へと向かいました。
大阪からベトナム最大の商業都市であるホーチミンまでは約5時間30分。深夜到着したダナン国際空港には、現地で友達として世話をしてくれるバディ学生3人が迎えに来てくれ、2週間のプログラムがスタート!
第1週目は、ビジネス英語の基本について集中的に学ぶとともに、イノベーションや起業家精神についての英語講義と、日本語を専攻するベトナム人のバディ学生によるポイント説明、天野教授(四天王寺大学・経営学部 教授)の補足説明という形で授業が行われました。
さらに、今回のテーマである、お土産や文化にかかわるビジネス・商品についてベトナムの事情を学ぶため、ダナンのマーケットなどの市場調査も行いました。
障害者を雇用し、布製品などのお土産づくりを行う社会起業NPO『CORMIS(コルミス)』を訪問し、バリアフリーや障害者福祉が未発達のベトナムの状況を改善すべく取り組んでいる、起業家と障害者の方からお話を伺ったり、一大観光地であるホイアンにある陶芸村や木工彫刻村を訪問しての制作体験、ホイアンのシンボルでもあるランタン作り、ボートツアーなど、バディ学生の案内で体験しながらベトナムの工芸品事情について学びました。
第2週目は、いよいよ商品企画と販売実習です。「日本の抹茶と和菓子」「開運絵馬と書道」「寿司型キーホルダー」の3チームで、コンセプトをベトナム人の学生や先生と確認するとともに、日本から持ってきた材料を使い、プロトタイプの試作を行いました。
また、その試作品の価格設定や形状・ボリューム・ネーミングなどについて、授業の合間や休み時間を活用して顧客となる高校生や大学生にアンケート、マーケットリサーチを行い、最終的な仕様に反映。インスタグラムなどを通じてプロモーションを行うとともに「ビジョンボード」として、商品の特徴やストーリーをまとめました。
そして最終日。いよいよ朝から学内に特設された屋台で販売開始です!
「抹茶チーム」は茶筅をつかってたてる抹茶をメインに、手作りの和菓子でお茶席を提供しました。ベトナムのお茶とは異なるほろ苦い中にも甘みのある抹茶と、半透明の水饅頭、独特の食感のわらび餅はベトナム人の若者にも大好評でした。
「絵馬チーム」の用意したサービスは、ベトナム人学生の願い事を名前とともに絵馬に代筆し、願いをかけるというものです。習字が得意な学生が筆を使って日本語で記入し、シールなどでデコレーション。ベトナムには木の板に直接書くという習慣がないため、非常に新鮮な体験であったよう。学業成就から、恋愛の告白や安産祈願まで、さまざまな願い事を書き込んで盛り上がりました。
「寿司チーム」の商品は、小さな寿司のミニチュアフィギュアを使ったアクセサリー。軽量紙粘土を固めて絵の具とネイル用品で塗装して作成した寿司のフィギュアを、キーホルダーやストラップに加工しました。最初は実物大のサイズで考えていましたが、アンケート調査の結果をふまえて、より小型化し複数割引なども実施。ネタは玉子やサーモンが人気の一方、穴子が不人気であることも判明しました…!
3つの屋台はどれも大人気で、午後にはほぼ完売状態となりました。授業最後となる修了書授与式では、その売り上げや結果、反省点について、3チームが発表を行いました。徐々に慣れてきた英語で、見事なプレゼンテーションをやり遂げてくれました。
参加学生のほとんどは海外が初めて、さらに今年初めて実施されたプログラムということもあり、自分たちで考えチャレンジする場面が多々ありましたが、学生たちは起業家精神とリーダーシップを発揮し、大きな成長を見せてくれました。現地のバディ学生とも絆を深め、一生の思い出となる経験ができたようです。
このプログラムは、来年度もさらに工夫を加えて実施予定です。次の学生たちがどんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみにしています!