Shitennoji University

令和6年度 科学研究費助成事業(科研費)令和6年度 採択課題 研究概要①

精神科看護師の「看取り」を支援する教育プログラムの開発と検証

研究代表者氏名 荒井 春生
(アライ ハルミ)
所属 看護学部
看護学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 21K17379

研究の目的

近年、日本の単科精神科病院は、精神障がい者の高齢化が深刻となり、彼らの療養生活や人生の終焉を「看取る」場として位置づけられている。その一方、精神科看護師はこの現状をどのように受け止めて「看取り」を行っているのか、精神科看護師の意識や知識、その背景にある様々な要因については明らかにされていない。そこで、本研究は日本、マレーシア、タイの3カ国を対象に、単科精神科病院で勤務する精神科看護師の「看取り」の実態と教育支援教材の開発について包括的に明らかにすることを目的とした。第1は、精神科病院や地域における「看取り」の体制や医療制度、精神障がい者や家族のニーズ、医療従事者間の連携体制の現状を把握する。第2は、「看取り」の現状から、精神科看護師のニーズに合致したDVD学習教材を開発する。教材の内容は、精神障がい者への個別ケア、家族への支援、倫理的な課題などの対応、チーム医療の推進、精神症状への対応などを具体的にする。第3は、教材の効果を検証して精神科看護師への「看取り」教育の普及方策を検討する。

期待される研究成果

精神障がい者はそれぞれ異なる精神症状や病歴、価値観を持っているため、「看取り」においても1人ひとりのニーズに合わせたケアが不可欠と言える。このような状況において、精神科看護師は単に精神障がい者の身体的な苦痛を和らげるだけでなく、その人らしく生き、尊厳を持って「看取り」ができる専門職と言える。
本研究の成果は、日本、マレーシア、タイにおける精神科看護師の「看取り」の実践と教育の質向上に貢献し、精神障がい者の療養生活や人生の終焉をより質の高いものへと導くことが期待される。また、精神科病院での「看取り」を実践する教育の普及が進むことで、国際的な知見の集積にも資すると考える。

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虐待死を予防するエビデンスに基づいた標準化研修プログラムの開発と評価

研究代表者氏名 上野 昌江
(ウエノ マサエ)
所属 看護学部
看護学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 24K14050

研究の目的

これまでの研究から子どもの虐待死を予防する支援プロセスにおいて、目の前に飛び込んできた育児や親子関係の問題から保健指導をスタートするのではなく、ジェノグラムやエコマップなどを活用し、親の逆境的小児期体験を含め、厳しい状況を生き抜いてきた彼らの存在そのものを受け止めることから始めること、つまり援助関係づくりを基盤とした支援をおこなっていくことが重要である。
保健師等が援助関係づくりを基盤した支援をおこなっていくための標準化した研修プログラムが必要である。
本研究は、虐待予防活動を行っている保健師等を対象にした標準化研修プログラムを開発、評価することである。具体的には次のことを目的とする。

  • (1)虐待の特徴をふまえた専門性の向上に向け、エビデンスに基づいた支援技術を抽出し、標準化虐待予防研修プログラム作成する。
  • (2)作成した研修プログラムに基づき、研修を実施し、援助関係づくりから継続した支援に至った支援者及び支援を行った事例双方から評価を行う。

期待される研究成果

虐待対策においては、虐待を水際で防ぎ、虐待が生じれば子どもの命を守るために保護し、保護者と分離するという虐待防止と科学的根拠に基づき結果を予測して予防のための支援を展開する虐待予防という考え方がある。虐待防止は緊急性を要し、親子分離などの介入が早急に必要である。そのための専門性の向上に向けた法定研修等が実施されている。一方虐待予防は長期的な関わりが求められ世代間連鎖予防が重要であり、支援を必要とする人との援助関係づくりが基本となるが、虐待防止に比べ、命に直結しないと考えられ虐待予防の重要性は認識されにくいため、標準化されたプログラムが開発されていない。
本研究では、虐待予防のための保健師の支援の継続性の根幹をなす「援助関係づくり」を焦点にしたシステマティックレビューに基づいた支援技術を導き出し、標準化プログラムとして作成する。プログラムを受講した保健師等が援助関係づくりから支援を始めることにより、これまで困難であった支援により虐待死の予防につながる。
標準化虐待予防プログラムにおいて作成するテキストやデジタル化した資料は、今後の虐待予防の重要なツールとなる。また、本研究においてデジタル化した資料等は、今後親が利用できる育児支援教材としても発展可能と考える。

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文脈を考慮した攻撃性の機能差と感情機能との関係における情動粒度の効果の検討

研究代表者氏名 勝間 理沙
(カツマ リサ)
所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 基盤(C) 研究課題番号 24K05834

研究の目的

これまでも“なぜ攻撃性を行うのか”という動機については検討されてきたが、他者を害する行為が行われる場面として“対面”が想定されていた。しかし、近年ではSNSなどの“サイバー空間”における攻撃も問題視されるようになっている。このような攻撃性が発せられる状況的要素(文脈)を考慮して、これまでの研究を再検証していく必要があると考える。
そのため、本研究では次の事を検討する:①日本児童において、対面とサイバーという文脈における攻撃の動機、つまり攻撃性の機能差がどのような様態をもつのか明らかにしていく。そのために文脈での攻撃性の機能の違いをを測定する尺度の妥当性を検証する。②これまでの研究でも示されてきた攻撃性と共感やCU特性といった感情機能との関連を、文脈を考慮した上で検証していく。③さらに攻撃性の高さと感情機能の低下との関連がなぜ起こるのかを明らかにするために、感情(情動)を体験する際に、その体験をきめ細やかに分類できる能力や程度である“情動粒度”に着目する。そして、その情動粒度が文脈を考慮した攻撃性の機能差と感情機能との関連にどのような効果を持つかを明らかにしていく。

期待される研究成果

まず第一に、サイバー空間と他面という文脈を考慮した攻撃性研究は現時点で日本ではほとんどなされていない。海外で既に開発された尺度の日本での妥当性を検証することで、本邦の攻撃性研究の新たな発展に寄与する。また、文脈を考慮した攻撃性の様態を明らかにし、さらに攻撃性を高める要因との関連を検討していくことで、実際に攻撃性を適正化、予防するための有効なアプローチに必要な知見を得ることができる。さらに、本研究が対象とする児童期は、攻撃性の種類や性質の発展がめざましい時期であることが分かっている。この時期の攻撃性にどのような変化や発展があるのか、またそれは文脈を考慮した場合どのような様相を示すのかを明らかにすることは、その時期の子どもを理解し、援助・教育していく上で有意義な知見が得られると考える。

備考

本研究の協力者・小学校を募集しています。関心をもって協力していただける方は、以下のアドレスにご連絡いただければさいわいです。
【勝間理沙:lkatsuma@shitennoji.ac.jp】

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教職大学院の実務家教員が教育実践研究を点検・評価するためのルーブリックの開発

研究代表者氏名 木原 俊行
(キハラ トシユキ)
所属 教育学部
教育学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 22K02889

研究の目的

教職の特性の1つである、再帰性から、日本の教職大学院の実務家教員(以下、実務家教員)が教師教育者として教育実践研究を企画・運営し、それを論文化等により発表する能力を有することの必要性は明らかである。実務家教員は、大学院生による教育実践研究の計画・実施等を指導するために、自らもそれを体験し、その遂行を自身のアイデンティティーの側面の1つにすることが望まれる。
しかし、実務家教員が教育実践研究を企画・運営し、それを論文化する際に参照できる指標が存在しない。そこで、本研究では、「教職大学院の実務家教員が教育実践研究を点検・評価するためのルーブリックの開発」を研究目的に据える。

期待される研究成果

これまでの調査研究によって、実務家教員が教育実践研究を企画・運営し、それを論文化する際に参照できる指標がなく、現状では、実務家教員たちが手探りで、時には実務経験のない研究者による学術研究の要件に自らの取り組みを無理に合致させようとしていることが確認されている。それゆえ、実務家教員たちがそのような隘路に陥らず、自らの教師や学校長等のキャリアを生かして教育実践研究を企画・運営するためには、ツールが必要である。また、ツールの活用を促進するための実践としてワークショップ(教職大学院のFD)などが企画・運営されるべきである。本研究によって、そのようなツールやワークショップ等を実務家教員たちに提供できる。
なお、前述したツールは、いくつかの国では、すでに実務家教員の「査定」のために作成・利用されているが、本研究では、あくまで、実務家教員自身による教育実践研究の点検・評価を支え促す役割を果たすものとする。

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養護教諭の「気づくー関わる」実践の成長プロセスと多様な養成教育の関連性の検討

研究代表者氏名 重年 清香
(シゲトシ キヨカ)
所属 看護学部
看護学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 21K10621

研究の目的

近年、学校における子供の心身の健康保健活動に携わる養護教諭の役割は拡大しており、教育実践力や学校組織や地域との関係形成力など多様な能力を発揮する養護教諭の養成が求められています。様々な学問体系を持つ大学の専攻分野(専門課程)を学修しながら養護教諭養成課程を修了した養護教諭は、採用された市区町村の公立または私立学校に1人配置または複数配置により養護実践を行います。養護教諭の成長に関する先行研究では、個人の要因と学校組織の在り方や教職員の関係性など環境の要因が養護教諭の成長に関わっていることが明らかになっています。今回の研究では、養成教育での学びも視点に入れて成長プロセスについて調査し、成長に影響する要因の抽出や養護観などを分析し、養護教諭への教育支援について検討することを研究の目的としています。

期待される研究成果

様々な経験を持つ養護教諭の成長プロセスを辿ることにより、実践に活かされた養成課程の学びや養護教諭としての成長に影響する要因などが抽出されることを期待しています。

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室町幕府文書管理史の研究

研究代表者氏名 田中 誠
(タナカ マコト)
所属 社会学部
社会学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 24K04215

研究の目的

日本中世史料論といえば、武家の古文書、公家・寺院の古記録がありそれらの特質が研究されてきた。しかし、武家内部で作成された記録や控え、故実書などの家伝文書については、史料論的な視角からの検討はなされてこなかった。
そこで本研究では、アーカイブズ学の視点を導入し、室町幕府内における書面の作成・保管に携わってきた奉行人の活動に着目し、特に記録や故実書の作成・保管の形態、史書編纂を通じた書面の利用のあり方を検討する。またそれらを研究・紹介することで学界の共通財産とし、文書管理史という視点から武家権力の特質の解明を目指す。
室町~戦国期室町幕府奉行人が作成・保管した書面は、引付など公文書控えの他、日記、他家の記録、鎌倉期の史料、故実書など多岐にわたる。従来こうした書面の作成・書写・保管など一連の管理は漠然と職務のために必要なもの、ないしは私的な活動と理解されてきた点が問題である。また公文書と故実書などの典籍は別々に研究されてきたが、「家の蔵書」として一体的に把握する必要がある。本研究では戦国期畿内の政治史的展開を踏まえつつ、書写活動の時期、書写者の地位を考察する。室町幕府奉行人を中心に戦国期の文書管理のあり方を検討し、武家史料の特質を明らかにすることを目的とする。

期待される研究成果

これまでの史料論では古文書学や公家の古記録を、文書管理史では幕府以外の諸権門・村落を扱ってきたのに対し、現存する室町幕府奉行人史料の特質から文書管理の実態を解明しようとするところに独自性がある。政治史の動きと連関した史料論・文書管理史を展開することで、武家独自の史料的特質を解明することができ、中世最大の権門である武家の文書管理史研究は大きな発展をみせる。これにより公家・寺社史料を中心に構築されてきた史料論との比較可能性を付与する。また、近年戦国期室町幕府儀礼研究が盛んであるが、史料論という新たな方法を学界に提供することができる。
武家政権のアーカイブズをめぐる議論としては、江戸幕府や各藩はあるが、中世武家においては上述の研究の他、ほとんど研究が無い。特に戦国期の武家政権文書管理史研究としては初の試みであり、先駆的かつ基盤的な研究と位置付けられる。
国外においては、アーカイブズ学の視点による橋渡しが可能であろう。アーカイブズ学という考え方自体が、ヨーロッパにおける都市などの文書館における管理業務を淵源としているからである。日本中世史においては、日欧比較研究が行われており、日独間が盛んである(研究業績⑩⑬)。ここに中世の武家文書管理史の視点を導入することで、従来の日欧比較研究史にはない研究が可能となる。

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新時代の子育て期家族の多様性を尊重した家族支援ダイバーシティモデルの開発

研究代表者氏名 西元 康世
(ニシモト ヤスヨ)
所属 看護学部
看護学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 24K13896

研究の目的

わが国は急速な高齢化が進み、高齢化率は28.9%(内閣府、2021)となり、超高齢社会に突入している。さらには、合計特殊出生率や生産人口の減少、医療技術の進歩による寿命の延伸に伴い、人口の構造は2000年以前とは大きく変容した。世帯の家族類型別構成割合(国立社会保障・人口問題研究所、2023)では、世帯規模は縮小し、三世代世帯や核家族世帯の一般世帯数に占める割合が減少する一方、単独世帯は急増するといった変遷の途にあることがわかる。また、未婚化・晩婚化、女性の職場進出や男性の育児参加の推進、共働き世帯の増加、ひとり親家族の増加といった社会背景の中で、子育て期家族は多様化しており、今までと同様の家族の捉え方で家族支援を行うことは難しく、より家族の多様性を尊重する関わりが求められている。本研究の目的は、新時代における子育て期家族の家族機能と家族支援ニーズの実態を明らかにし、家族の多様性を尊重した家族支援ダイバーシティモデルを開発することである。

期待される研究成果

新時代である近年においては、文化や性別、障がいの有無などに関係なくひとりひとりが尊重される社会の実現を目指すダイバーシティという考え方が浸透している.ダイバーシティは、人々の多様性を活かす取り組みを意味する言葉として、教育、ビジネス、人材雇用といった幅広い分野において活用されているが、看護学においては多様性を踏まえた実践を行うことが推奨されてはいるものの、多様性を軸として捉えた看護モデルはまだ少なく、家族支援においてはモデル化されたものはない.個人と同様に家族に対しても、その多様性を尊重した家族支援は必要であるため、本研究成果は家族支援のダイバーシティ実現を推進することにつながると考える.

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HPVワクチンに関する意思決定支援ツールの開発:テーラーメイドの情報提供をめざして

研究代表者氏名 舟木 友美
(フナキ トモミ)
所属 看護学部
看護学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 24K13994

研究の目的

子宮頸がんは妊娠出産を控えた20~40歳代の若い女性に多く、日本においては罹患率・死亡率ともに増加している。ヒトパピローマウィルス(以下、HPV)ワクチンは子宮頸がんの予防に効果があることが明らかとなっているが、日本においてはHPVワクチンの積極的勧奨が差し控えられてきた。2022年4月より9年ぶりに積極的勧奨が再開されたものの、長期におよんだ国による接種勧奨の差し控えによって、HPVワクチン接種対象者およびその保護者(以下、接種当事者)は、接種に関する意思決定に困難を感じている。
本研究の目的は、HPVワクチン接種において、接種当事者の効果的な意思決定を支援する情報提供システムを構築することである。具体的には、意思決定の過程で必要とされる情報内容や情報提供方法の解明を行った研究をもとに、情報提供システムの試作をし、その実施可能性や効果の検証を経て体系化を行う。

期待される研究成果

本研究では、HPVワクチン接種において、接種当事者の効果的な意思決定を支援するための、個々に合わせた最適な情報内容や提供方法とは何かという点に着目している。情報内容とは、HPVワクチンに関するリスクや効果など、エビデンスに基づく信頼性の高い医療情報に加え、個々の接種当事者が自己の価値観を明確化することを助けるためのナラティブ情報が含まれる。また、最適な提供方法は、接種対象者や保護者の特徴に合わせた媒体やアクセシビリティ、可読性、普及戦略などのことである。これらを明らかにすることは、適切な情報提供システムの構築につながり、HPVワクチン接種に関する意思決定支援ツールとして機能することが期待される。
本研究で開発する情報提供システムは、接種当事者の子宮頸がんやHPVワクチンに関する知識や価値観などを可視化することを可能する。そして、一律で一方的な情報提供ではなく、個々に合わせたテーラーメイドの意思決定支援ツールとなることが期待できる。

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QOD実現に向けた実践的スキルを学ぶVR教材を用いた教育プログラムの開発

研究代表者氏名 前原 なおみ
(マエハラ ナオミ)
所属 看護学部
看護学科
職位 准教授
研究種目 若手研究 研究課題番号 24K20293

研究の目的

人生の最終段階における選択肢は多様化し、治療を開始しないことや、途中で差し控えることなど倫理的な問題を踏まえて最期をどのように迎えるかが重要となっています。そのため、看護師には包括的なケアが求められており、QOD(よりよく生き、自分らしく亡くなる過程)を支援する知識と技術が必要です。

しかし、現代の若者は死を身近に体験することが少なく、生命感覚に乏しいと言われています。また、看護師となってからは多様多忙な業務の中で患者さんの死を支援しており、精神的な疲弊や離職につながっている現状があります。

そこで、本研究では看護系大学におけるQODに関する教育と、大学病院初年次のQOD教育の現状と課題を調査し、その課題解決に向けてVR教材を用いた教育プログラムを作成します。

期待される研究成果

本研究は、看護系大学における基礎教育、および大学病院の初年次教育におけるQOD教育の現状と課題を調査し、それらを踏まえて、VR教材を用いた教育プログラムを開発するものです。VR教材は、臨場感があり、再現性が高く、記憶定着率がよく、実践効果も向上する教材です。

そこで、三人称の視点で臨床場面を撮影し、ゲーム感覚を取り入れながら課題解決に向かう体験教材と、熟練看護職の看護技術を一人称の視点で撮影し、臨床判断を踏まえて思考する教材を作成します。

作成したVR教材は、視点分析を用いて評価し、修正して看護学生と新人看護師の教育プログラムを作成します。
QODの知識と技術の向上は、看護観を豊かにし、人生最期まで満足のいく患者支援につながることが期待できます。

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警察における女性治安維持要員の採用・登用と役割に関する歴史社会学的研究

研究代表者氏名 牧野 雅子
(マキノ マサコ)
所属 社会学部
社会学科
職位 講師
研究種目 2022年度 基盤研究(C) 研究課題番号 22K12657

研究の目的

現在、警察では、女性警察官の積極的な採用や登用が行われ、女性が働きやすい職場作りがすすめられている。一見、女性の職業生活の継続を支援しているようであるが、専業主婦の存在を当てにして、駐在所員である夫の補助に「駐在所夫人」として取り込む制度が存在するなど、ジェンダー政策という面では矛盾を孕んでいる。性暴力被害者の支援など、今後も女性警察官をはじめとする、女性治安維持要員の重要性は増すと思われるが、良好な行政サービスの提供という面でも、組織員の勤務環境の改善という面でも、ジェンダーの視点による組織運営を検証する必要がある。
本研究は、そうした状況を鑑み、日本の警察組織における、女性警察官をはじめとする女性治安維持要員が採用、登用された経緯や、彼女たちの組織内での役割、組織内外の認識やその変化について、警察関連資料を分析し、警察組織のジェンダーの有り様を歴史社会学的に明らかにしようとするものである。

期待される研究成果

  • (1)女性治安維持要員に関する研究により、ジェンダー研究や警察研究の対象を広げるとともに、ジェンダーの視点による警察研究という新たな研究視座を提供する。
  • (2)女性警察官の働きやすい職場作りに関する組織改善への提言や、性暴力をはじめとする被害者支援業務への改善の提言など、警察実務に関する貢献にも繋がると考える。

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