Shitennoji University

令和5年度 科学研究費助成事業(科研費)令和5年度 採択課題 研究概要②

熟練訪問看護管理者の臨床判断の可視化による訪問看護導入期の看護実践ガイドの開発

研究代表者氏名 小林 裕美
(コバヤシ ヒロミ)
所属 看護学研究科 職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 21K11067

研究の目的

不慮の事故は乳幼児期の死因順位において上位を占め、乳幼児の生命および健康の重要課題であり、より効果的な事故予防対策を検討することが急務である。乳幼児期においては保護者を中心とした事故予防対策行動に焦点が当てられているが、これには子どもの発達を見通すことや環境のリスクをアセスメントするという複雑な能力が求められる。乳幼児の事故を予防するために、母親が危険リスクを適切に判断し、事故予防対策を実践するために必要なコンピテンシー(事故予防実践能力)を明らかにし、実践につながる背景を理解する必要がある。そこで、本研究は乳幼児を育てる母親の事故予防に関するコンピテンシーを明らかにし、尺度開発を行うことを目的とする。わが国では、在宅医療が推進されているが、その中で、在宅ケアサービス事業所の一つである訪問看護ステーションの数も漸増している。しかし、量の拡大とともに看護サービスの質の低下が懸念されている。そこで本研究は、熟練の訪問看護管理者が訪問看護を導入する際の実践と判断がその後の看護サービスの質を方向付けていることに着目し、これらを明らかにし、訪問看護ステーションの質向上に寄与できるように取り組むものである。

本研究の目的は、訪問看護導入期の看護実践におけるエキスパートレベルの臨床判断を抽出し、実践で適用可能な看護実践ガイドとして可視化することである。具体的には、熟練訪問看護管理者の訪問看護導入期の臨床判断を明らかにし、その成果を元に訪問看護実践者と共に『訪問看護実践ガイド』の作成を行う。

期待される研究成果

本研究における「訪問看護実践ガイド」とは、訪問看護の専門的・意図的な実践をある方向に導き、構造を含んだもので、ガイドラインやチェックリストとは異なる。

訪問看護導入期の訪問看護実践ガイドが作成できれば、地域で看護実践している訪問看護管理者に対し直接的に活用できるツールとして提供でき、訪問看護サービスの質向上に向けた人材育成に貢献できると考える。

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理科教育の現代的課題の解決を図るマイクロスケール実験による個別実験と授業デザイン

研究代表者氏名 佐藤 美子
(サトウ ヨシコ)
所属 教育学部
教育学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 19K02692

研究の目的

児童・生徒の主体的な学習を支援する実験方法としてマイクロスケール実験を取り上げ、教材開発と授業デザインの提案を通して、学校現場への普及を図ることを目的とする。
第1に、マイクロスケール実験による個別実験が適した学習内容の抽出と教材化をり、主体的な学習を支援する実験方法を提案する。次に、思考力の育成に向けた新しい授業展開、詳細な観察による考察の深化、実感を伴った理解の促進等を目指す。

本研究では,特に呈色板やパックテスト容器等の市販品を応用して,より安価で安全な実験器具を用いて学校現場への普及に取り組む。

授業実践では,主に小学校教員志望の学生に,理科の指導力向上を目指して実験を含む授業を多く体験させる。また、小学校・中学校・高等学校の各学校の理科授業で活用できる授業デザインの研究を現場の先生方と実施する。また、ICTを積極的に用いた授業デザインの構築と学校現場への提供も積極的に行う。海外の学校現場における実験授業の視察を通して、日本の教育事情に応じた特色ある教材開発と授業デザインの構築も検討する。

期待される研究成果

研究期間(4年)においては今までの研究の継続を基本とする。マイクロスケール実験の特徴を生かし、同時に次期学習指導要領に対応すべく、教材開発と実践活動並びに新しい授業デザインの構築、研究会を通した活動を行う。マイクロスケール実験の学校現場への普及が進むことが研究成果として期待される。

本研究では 1.教材開発 2.授業デザインの作成 3.授業実践と研究会の活動 4.授業分析と総括 5.実践結果のフィードバック が大きな柱となり、学外者の研究の下で行う。特に理科教育学会における課題研究発表は、10年にわたって継続的に行っているが、本研究の研究期間内においても積極的に成果発表の場として活用する。

研究成果の発表は主に関係学会の論文誌(理科教育学研究、科学教育研究など)への投稿、学会発表(理科教育学会、科学教育学会など)を通して積極的に行い、議論の成果を踏まえ、マイクロスケール実験の普及を図る。

研究成果の社会的還元としては「ひらめき☆ときめきサイエンス」(JSPS主催)を行う。2019年度で4回目の実施となるが、主に中学生と高校生を対象とする実験教室であり,開発した教材実験の実践の場として活用する。

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注意欠如・多動症(ADHD)と発達性協調運動症(DCD)の鑑別・評価法の開発

研究代表者氏名 鈴木 浩太
(スズキ コウタ)
所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 23K02948

研究の目的

注意欠如・多動性症(ADHD)と発達性協調運動症(DCD)は、類似した場面で困難さを抱える。そのため、ADHDとDCDを鑑別することは困難である。本研究では、ADHDとDCDの正確な鑑別・評価法を確立することを目的にする。本研究には、行動観察チェックリストと脳機能検査の開発が含まれる。行動観察チェックリストの開発では、検査者が、運動検査中に観察されるADHDとDCDの特徴を評価するチェックリストを開発する。専門家の自由記述に基づき項目を作成し、大規模調査でADHDとDCDを判別することができる項目を選別する。脳機能検査の開発では、脳波を計測し、ADHD、DCD、併存例の詳細な特徴を明らかにし、脳機能に基づく客観的な評価法を開発する。従来の評価方法に、行動観察チェックリストと脳機能検査を組み合わせることで、ADHDとDCDの正確な鑑別・評価プロトコルを確立することをめざす。

期待される研究成果

DCDを評価するために、MABC-2等の運動検査中の行動観察は臨床の中で行いやすい。神経発達症には脳機能の障害が背景にあり、脳波等の手法を用いると、直接的に脳機能を評価することができる。従来の評価方法に、臨床的に活用しやすい行動観察チェックリストと客観的な評価の可能な脳機能検査を組み合わせることで、ADHDとDCDの正確な鑑別・評価プロトコルを確立する。

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気づかれにくい文法的類義表現の研究

研究代表者氏名 高橋 美奈子
(タカハシ ミナコ)
所属 人文社会学部
日本学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 19K00637

研究の目的

類した意味を持つ「類義語」があるように、文法現象を担う文法形式にも、その意味用法や機能において類する点を有する「文法的類義表現」が存在する。日本語文法研究において、同じカテゴリーに属する複数の形式(例:完了相を表す「タ」と「テイル」等)の間に見られる共通点や相違点を明らかにすることは、そのカテゴリーの研究の精緻化のために盛んに行われてきた。これら、同じ文法カテゴリーに属する形式間の類義関係は気づかれやすく、かつ取り上げられやすく、すでにかなり研究が進んでいる。

しかし、異なる文法カテゴリーに属する形式や、品詞を異とする形式であっても、使用条件によっては類義となるという現象も観察される。(例:「~を試みる」の類義表現は「~(し)てみる」と考えられているが、過去の事態「~を試みた」と類義となるのは「~(し)てみた」ではなく「~(し)ようとした」である。)それら、異なる文法カテゴリーに属する形式や、異なる品詞に属する形式の間に見られる文法的類義現象にはどのようなものがあるのか。それはどのような場合に成立するのか。これが本研究の根源的な問いとなる。

本研究の目的は、既によく知られ研究もされている著名な文法的類義表現ではなく、まだよく知られていない、あるいは存在が看過されてきた文法的類義表現を追究することである。そのような文法現象を「気づかれにくい文法的類義表現」と捉えて、日本語の各領域の中から抽出し、整理・体系化するところに、本研究の独自性がある。

期待される研究成果

過去の文法的類義表現の研究でまとまったものとしては宮島達夫・仁田義雄編(1995)『日本語類義表現の文法(上)単文編』・『同(下)複文・連文編』があるが、同書は著名な類語表現を優先的に取り上げ、記述することを専らとしている。また、非母語話者の誤用を扱う市川保子編著(2010)『日本語誤用例辞典』では、非母語話者の文法上の誤用として、カテゴリーの同一性や形態の相似のほか、意味の類似によって生じる例をも挙げており、示唆に富むが、文法的類義表現を正面から扱うものではない。

これらに対し、本研究は、それほど知られていない類義表現、類義であることが看過されてきた表現・形式としてどのようなものがあるかを明らかにし、それらを整理して体系的に示し、個々の表現・形式について記述する。次のような成果が期待できる。

  • (1) 日本語の文法的類義表現の研究の進展―これまで看過されてきた類義表現の存在を明らかにし、その様相を適切に記述する。
  • (2) 日本語文法研究の更なる充実―カテゴリー、形態論の枠を越えた文法的類義現象を精緻に記述することで、文法研究に新たな知見を加える。
  • (3) 日本語教育への応用―気づかれにくい文法的類義表現についての適切な記述は、日本語を教える教員にも有用であり、また教え方や教材に反映させることで、日本語学習者にとっても有益なものとなる。

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南北朝期室町幕府機構と官僚制の研究

研究代表者氏名 田中 誠
(タナカ マコト)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 21K13106

研究の目的

本研究は、室町幕府将軍の直臣であり、政務運営の実務を担う評定衆・奉行人に着目して、その地位や機能の変化から幕府権力の展開過程を明らかにするものである。評定衆・奉行人は、引付方など幕府機関に所属し、裁判や文書作成にかかわるところから、研究史上官僚や吏僚と呼称されており、本稿でも彼らを官僚と総称する。
これまで官僚層は6代将軍義教期以降にその権限を増大させると言われてきたが、南北朝~室町期の検討が不十分なまま出された結論であった。とりわけ、官僚層の氏族構成や世襲化の動き、南北朝期に新設される役職や諸機関と官僚層の関係は未解明である。これらを検討し、幕府がいかなる社会問題に直面して制度を変えていったかを明らかにする。同時に、官僚を統制する手段としての昇進制と将軍・大名との関係から人事権の在り方に着目し、将軍と諸大名との幕政をめぐる諸矛盾をあぶりだす。近年では室町殿≠将軍の地位の絶対性を説く研究が多いが、官僚制の検討を通じてそうした見方を相対化することを目的とする。

期待される研究成果

そもそも室町幕府奉行人を「将軍直属の官僚」とみなすのは、マックス・ヴェーバーの提唱する前近代の家産官僚制論の影響である。にもかかわらず、彼らの中核的機能である文書起草やその過程における役割、昇進制度の成立や展開といった、「官僚」を官僚たらしめる制度については明らかにされていない。また家産官僚制のイメージが強く、「将軍直属」の官僚という面のみが強調されており、諸大名家にも仕える「兼参奉行人」にも注目されてこなかった。こうした将軍や管領、諸大名と官僚層の結合形態に着目し、南北朝内乱の影響を考慮にいれ、官僚層の展開過程を解明するところに本研究のオリジナリティがある。
その前提として、奉行人の職員リストを作る必要がある。これまで2095件分の在職考証を完成させた。かかる基礎的な実証研究に基づき、官僚制という一貫した視点から室町幕府の権力機構に迫る点が独創的であり、先行研究のある鎌倉期から室町期までの武家官僚制史を構築することができる。日本史上に存在する他の官僚制(律令官僚制や公家官僚、戦国大名家中論)との比較検討も可能となるといえる。

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複言語教育に基づいた分野横断的PASTEL学習のための教材開発
(Development of Teaching Materials for Interdisciplinary Plurilingual Learning)

研究代表者氏名 ピアース ダニエル ロイ 所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 若手研究 研究課題番号 22K13185

研究の目的

【概要】外国語学習者の多様化しているニーズに応えるため、複言語教育に基づいた分野横断的なPASTEL(Plurilingualism, Arts, Science, Technology, and Literacies)が提案されている。PASTELは対象言語の習得だけでなく、複数の言語や文化そのものを学習内容として捉え、他分野の学習内容と結び付け、多様な相手や言語の使用場面に対応する力の育成を目指す教育的アプローチである。しかし、複言語教育の先行研究の多くは多言語環境で行われ、日本のような言語的均質性が高い文脈での有用性は十分に解明されていない。そこで本研究の目的は、大学・高等学校向けの教材開発や文脈化を行い、実践研究を通して日本の外国語教育におけるPASTEL教育の有用性を検証する。

【目的】

  • 1)既存の複言語教育、STEAMやPASTELに関する文献を参照し、日本の大学外国語教育のためのPASTEL教材を作成し、実践研究を通してその有用性を検証する。
  • 2)高等学校の現役教員とともに他教科接続と地域連携を視野に入れたPASTEL学習の意義・有用性を検討する協働アクション・リサーチを行い、教材を作成する。
  • 3)上記の1)と2)で作成した教材及び研究協力者の知見を元に、学習目標を明示化したPASTEL学習のための「教育シナリオ集」を構築し、公開する。

期待される研究成果

  • 1)海外で作成された既存の複言語教育やPASTEL教材等の日本の大学・高等学校への文脈化を行うとともに、現役教員との共同アクション・リサーチを通して、学習者の多様化しているニーズにあった教材を作成し、公開する。
  • 2)地域連携活動の一環として、地域史と外国語活動を結び付けて、本学の「和の精神」に合った「多様な社会に生きる中でお互いの違いを理解し、受け容れ、調和していく」ための複言語教育のあり方を検討し、教育シナリオを作成し、公開する。

    上記の2つに加えて、日本語・英語を含めた複言語教育に関する現役教員向けワークショップ等を開催する予定。

備考

研究期間中に作成した教材・教育シナリオをyaekotoba.com(日本の複言語教育のためのサイト:JSPS科研費19K23092の助成を受けたインターネット上の教材集)にて公開する。

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ハンセン病療養所における生と再生――個人情報保護とアーカイヴ化の可能性

研究代表者氏名 田原 範子
(タハラ ノリコ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 教授
研究種目 挑戦的萌芽 研究課題番号 20K20737

研究の目的

本研究の目的は、【1】自己責任が強調され、非寛容な傾向が進む現代社会において、ハンセン病にかかわる人びとの生と自分の人生を交差させることで、生きる意味を再考することである。さらに、個人情報や資料にはハンセン病の社会史が刻まれ、社会性・公共性が備えている。そこで名前や地域の匿名化により情報が失われれば、一人一人の生の軌跡を十分に照射できない。【2】個人情報保護の観点から、質的データの公共性・社会性をいかに実現するかを模索し、アーカイヴ・ルールの確立とアーカイヴ・システムの構築を試みる。

期待される研究成果

調査資料の管理保存と共有公開という矛盾をはらむ二つのものを架橋することを試みる本研究は、史料や資料の保管・管理・公開のあり方を議論するなかで、ハンセン病にかかわる研究者や各療養所と連携する可能性をもたらすと期待される。

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アフリカ在来知の実践的研究ーー持続可能な共生社会の実現のために

研究代表者氏名 田原 範子
(タハラ ノリコ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(B) 研究課題番号 22H00920

研究の目的

本研究の目的は、自然や動物やモノを含めた他者と共生する思想を解明し、不寛容性の高まる現代社会において、多様な他者との共生モデルを構築することである。
具体的には、世界最大の難民受け入れ国の一つウガンダ共和国を中心に、牧畜・漁労・農耕・紛争後の社会において営まれる生業活動に着目し、社会学的調査研究を実施する。

期待される研究成果

(1)生業を基盤とするネットワークの運用の解明を通して、他者との連帯・協同にかかわる共同体レベルにおけるローカルな実践を明らかにし、アフリカ的「共生」の特徴を解明する。
(2)「共生」にかかわるアフリカ在来の知を解明するために、個人のライフヒストリーを収集して、ミクロな生活誌を集積し、アフリカ在来の知を特徴づける人間観を解明する。
(3)生業を基盤とするアフリカ的「共生」の概念化を図り、アフリカ的シティズンシップ概念とすることで、多様な他者と共生する社会を展望するための新しい共生モデルを創出する。

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高度実践看護師の能力の基盤「理論と実践の融合」を図る思考の発達モデルの生成

研究代表者氏名 泊 祐子
(トマリ ユウコ)
所属 看護学研究科
看護学専攻
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 22K10670

研究の目的

社会の発展とともに高度化する医療状況に即して、看護実践・教育の質の向上を目指し日本看護系大学協議会JANPUは1994年に専門看護師(Certified Nurse Specialist:CNS)の養成を大学院修士課程で始めた。これまで2,744名(2022年12月現在)のCNSが誕生し、さらに2015年にはプライマリヘルスケア領域をカバーするNurse Practitioner(NP)の教育課程を発足させ5課程がある(2021年4月現在)。このCNSとNPを合わせて日本の高度実践看護師(Advanced Practice Nurse APN)としている。

本研究の目的はAPNの能力の基盤となる「理論と実践の融合」を図る思考の発達モデル生成をすることである。このモデルはAPN教育の枠組みとなり、APN養成の促進に貢献できると考える。

  • ①APNに共通する能力の基盤となる思考の明確化のために、APNの能力と思考の関連性、思考の構成要素、思考スキルについてスコーピングレビューする。
  • ②ジェネラリストからAPNになる「理論と実践の融合」を図る思考はどのような思考スキルが使われているのか。論理的思考、分析的思考、批判的思考、クリティカルリフレクション等の思考スキルを把握し、「理論と実践の融合」を図る思考の発達モデルを生成する。
  • ③この発達モデルがAPNの能力の基盤となる「理論と実践の融合」を図る思考を示せているのか、モデルの精錬を行い実践への応用可能性を検討する。

期待される研究成果

本研究により、ジェネラリストからAPNになる「理論と実践の融合」を図る思考の発達モデルを示すことができる。その発達モデルを用いてAPNの教育課程を担当する教員がAPNの思考に焦点を当てて意識的に強化を図ることができ、APNの教育推進が可能となると考える。

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「多様性」をめぐる学力を形成する中学校教科横断型カリキュラムの開発

研究代表者氏名 永田 麻詠
(ナガタ マヨ)
所属 教育学部
教育学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 22K02615

研究の目的

本研究の目的は、今日学校現場においても重視されている「多様性」の諸相を検討するとともに、子どもが当事者性をもって「多様性」について考えられる資質・能力を教科教育に位置づけ、教科横断型カリキュラムを開発することである。また、「多様性」をめぐる教科の学力を提案することで、従来の学力観を再構築することも企図している。

期待される研究成果

  • 「多様性」の諸相を明らかにしたうえで、中学校を対象に目標や方法を系統化した教科横断型カリキュラムを構築することができる。
  • 包括的性教育や批判的リテラシー、シティズンシップ教育、いのちの教育などに着目して、青年前期という発達段階を考慮した「多様性」をめぐる教科横断型カリキュラムの開発が期待される。
  • 中学校における「多様性」をめぐる学力の提案が、国語科、社会科、特別の教科道徳における従来の学力観を転換することが期待される。また、「多様性」をめぐる学力の提案を行うことにより、それぞれの教科の固有性をも浮き彫りにすることが期待される。
  • 開発した教科横断型カリキュラムの一部を試行し、フィードバックすることで、実践可能な中学校のカリキュラムを構築することができる。

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