Shitennoji University

令和4年度 科学研究費助成事業(科研費)令和4年度 採択課題 研究概要②

数論的多様体の幾何学と数論的正値性

研究代表者氏名 生駒英晃
(イコマ ヒデアキ)
所属 教育学部
教育学科
職位 講師
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 20K03548

研究の目的

代数多様体上の有理点の研究を行う上で、計量の付いた直線束のノルムの小さい大域切断を考えることが大変重要です。例えばこのような切断は、超越数論における補助関数の役割を果たします。私はこのノルムの小さい切断に、零点集合上の重複度の条件(基底条件)を課した上で、その存在や個数の問題を考えました。本研究の目的は、計量付き直線束と基底条件の組に対して高さ関数を定義し、それを有理点の問題に応用することです。具体的な計算が可能な、曲線の場合やトーリック多様体の場合を確認した後、一般の場合を調べる計画です。

期待される研究成果

代数多様体上の有理点の問題は、数論幾何学において中心的で非常に長い歴史をもつ研究対象です。また、大域体上の数論幾何学であるアラケロフ幾何学において、数論的正値性の問題が大変重要です。本研究を通じて、これらの問題に、新しい概念と道具を確立することができると期待されます。

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http://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K03548
※国立情報学研究所の科研費データベースへリンクします。

高齢化が進むニュータウンでの住民が実践できる閉じこもり改善支援プログラムの開発

研究代表者氏名 大橋純子
(オオハシ ジュンコ)
所属 看護学部
看護学科
職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 20K11036

研究の目的

本研究の目的は、高齢者の閉じこもり原因の8割が心理的要因であることに着目。申請者らが先の研究で開発してきた主観的QOLや精神健康度の改善効果が示唆される集団コーチングプログラムを、閉じこもり高齢者に適する自己効力向上を軸とした個別支援型プログラムに応用、無作為化比較試験結果に加えプログラム研修を受けたボランティアの実践評価から心理的閉じこもり指標改善に有効で、かつ地域住民が実践できるプログラムの開発を行うことである。

期待される研究成果

急速な高齢化率の増加により、社会資源の整備が追い付ていない状況である。閉じこもり高齢者は、老化による体力低下に加え主観的QOLの低下やうつ傾向を生じやすく、閉じこもりから廃用症候群を来し要介護状態となるリスクが高い。そのため高齢者の中でも取り分け支援が必要な対象である。高齢者の閉じこもりは65歳以上の30%に存在し、要介護リスクが高いことから超高齢社会を迎えた我国では社会問題となっている。

このような背景の中、閉じこもり原因の1要因として、自己効力感、主観的QOL、抑うつ感など心理的要因があることから、これら改善を目的とした本プログラムの有効性と地域での実践可能性が確認できれば、①地域包括ケアシステムが目指す住民互助の力を活用した高齢者の介護保険移行予防システムに繋がることが期待できる。また、②社会福祉協議会ボランティアの協力を得て行うため、地域で実践可能な高齢者の健康支援策として広く社会に普及する可能性がある。

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妊娠期から産褥期の母親による歌唱の胎児・新生児への愛着促進の効果

研究代表者氏名 宮本 雅子
(ミヤモト マサコ)
所属 看護学部
看護学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 21K10868

研究の目的

本研究は,妊娠期から継続して産後にかけて母親が歌唱することによる母親の子どもに対する愛着促進の効果を明らかにすることを目的とする。愛着理論(Bowlby,1973)のモデルに基づき,母親から子へ,子から母親へ相互作用が進んでいく点から,歌唱による子どもへの愛着が高まることが予測される。助産師による教育的支援は,産後にかけて育まれる母子間愛着形成,さらには出産・育児期の母親役割獲得につながることが考えられるため,健康教育と継続的に歌唱するようワークショップを行う。妊婦が歌唱することで,元気さや心地よいと感じるなどの肯定的な感情が高まることが明らかであり,子守歌の歌唱は胎児への関心が高まることが考えられる。

期待される研究成果

  • 1.歌唱の実施前後の感情の変化を感情尺度と質的な意見や感想(歌唱後の気持ちの変化と胎児・乳児への思い:うた日記)により明らかにする。楽しさ・元気をもらう,リラックスなどの肯定的な感情を得ることが期待される。
  • 2.歌唱したグループは,健康教育と歌唱を続けて行うことで,胎児への愛着(胎児愛着尺度)や乳児への愛着(母親の愛着尺度)の変化を明らかにする。愛着は妊娠期から高まり,産後も高まっていくことが期待される。
  • 3.歌唱前後と産前・産後のクラスで,うつ尺度の測定値の分析を行い,ストレス・肯定的感情・リラックスレベルを客観的に評価する。歌唱により,ストレスや不安は低下し,肯定的感情が一時的に高まることが期待される。

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熟練訪問看護管理者の臨床判断の可視化による訪問看護導入期の看護実践ガイドの開発

研究代表者氏名 小林裕美
(コバヤシ ヒロミ)
所属 看護学研究科 職位 教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 21K11067

研究の目的

不慮の事故は乳幼児期の死因順位において上位を占め、乳幼児の生命および健康の重要課題であり、より効果的な事故予防対策を検討することが急務である。乳幼児期においては保護者を中心とした事故予防対策行動に焦点が当てられているが、これには子どもの発達を見通すことや環境のリスクをアセスメントするという複雑な能力が求められる。乳幼児の事故を予防するために、母親が危険リスクを適切に判断し、事故予防対策を実践するために必要なコンピテンシー(事故予防実践能力)を明らかにし、実践につながる背景を理解する必要がある。そこで、本研究は乳幼児を育てる母親の事故予防に関するコンピテンシーを明らかにし、尺度開発を行うことを目的とする。わが国では、在宅医療が推進されているが、その中で、在宅ケアサービス事業所の一つである訪問看護ステーションの数も漸増している。しかし、量の拡大とともに看護サービスの質の低下が懸念されている。そこで本研究は、熟練の訪問看護管理者が訪問看護を導入する際の実践と判断がその後の看護サービスの質を方向付けていることに着目し、これらを明らかにし、訪問看護ステーションの質向上に寄与できるように取り組むものである。

本研究の目的は、訪問看護導入期の看護実践におけるエキスパートレベルの臨床判断を抽出し、実践で適用可能な看護実践ガイドとして可視化することである。具体的には、熟練訪問看護管理者の訪問看護導入期の臨床判断を明らかにし、その成果を元に訪問看護実践者と共に『訪問看護実践ガイド』の作成を行う。

期待される研究成果

本研究における「訪問看護実践ガイド」とは、訪問看護の専門的・意図的な実践をある方向に導き、構造を含んだもので、ガイドラインやチェックリストとは異なる。

訪問看護導入期の訪問看護実践ガイドが作成できれば、地域で看護実践している訪問看護管理者に対し直接的に活用できるツールとして提供でき、訪問看護サービスの質向上に向けた人材育成に貢献できると考える。

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ポストコロナのライブエンターテインメント:中小ミュージックベニューを事例に

研究代表者氏名 太田健二
(オオタ ケンジ)
所属 人文社会学部
社会学科
職位 准教授
研究種目 基盤研究(C) 研究課題番号 21K12496

研究の目的

新型コロナウイルスの感染拡大までは、成長が見込めるインバウンド市場への期待は大きく、それをさらに拡大するために「ナイトタイムエコノミー」(夜間のエンターテインメント等の経済活動)の推進も図られてきた。しかし、コロナ禍において、移動の自由や人との接触、集まりが制限されるなか、ライブエンターテインメントそのもののは存続が危ぶまれる。

本研究課題は、クラスターを発生したことでスケープゴート化された、ライブエンターテインメントを下支えする中小のミュージックベニューを対象として、その現状と課題を明らかにする。

期待される研究成果

ローレンス・レッシグが注目した「法」「市場」「規範」「アーキテクチャ」という4つの規制のモードをもとに、フィールドワークや地理情報システム(GIS)を活用した分析を行い、自粛を強いる社会的な規範との折衝、ライブ配信といったDX的な取り組み、クラウドファンディングや助成金など、ポストコロナ社会におけるライブエンターテインメントの望ましいあり様と観光政策を提言していく。

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